さて。
今回もちょっと面白い裏バイトの体験談を投稿して頂いていましたので、取り上げてみようかと思います。
今日ご紹介するものは、まさに裏バイトという感じがする体験談ですね。
今回もちょっと面白い裏バイトの体験談を投稿して頂いていましたので、取り上げてみようかと思います。
今日ご紹介するものは、まさに裏バイトという感じがする体験談ですね。
‘ワケあり’なクルマを引き上げるバイトをしたことがある。 もうね、ワケありなもんだから車内がドラマチック。 差し押さえ的にいきなり押収しちゃうもんだから、車内がそのまま。 所有者の生活臭というか、さっきまで乗っていたオーラがムンムンなんですよ。 松浦亜弥のカセットテープ(CDじゃない)がカーオーディオに入ったままで曲は流れっ放しだったり、糖尿病の治療手帳みたいなのが残されたままだったり、飲みかけの缶コーヒーがドリンクホルダーにささったままだったり。 返済催促の手紙が山積みだったりするのはデフォルトなのでそれだけでは驚かなくなった。 実際に差し押さえるのは、そういう専門の会社があって逃げている債務者を見つけ出しクルマを押収し、我々に引き継ぐ。 どういう情報網があるのか知らないが、確実に見つけ出してくるらしい。 ウワサによると、その会社は警察のOBで構成されているらしい。 見た目はカタギじゃなかったので、てっきりソッチ系の人かと思ったら……。 バイト先で実際にその差し押さえ現場を見た人の話によると、逃げ回っていたわりには無駄な抵抗とか、ゴネたりしないでわりと素直に応じるみたい。 で、そのカタギじゃない見た目の人からクルマを現地で引き継いで、倉庫まで運転。 クルマだけじゃなくてバイクもあったりした。 そこから洗車して、書類を揃えて、業者向けのオークション会場に搬入。 これの繰り返し。 たまにオークション会場で良い出物があると落札して転売なんかもしていた。 |
ある時、珍しいクルマを引き上げてきたので、私はそのクルマに乗り替えた。 今までに乗っていたクルマはその業者向けのオークションに出した。 10年以上も前なのに、会場へ搬入した時の寂しさは今でも思い出す。 大切に乗ってきて、それなりに良い想い出も悪い想い出もあるクルマが会場にある数百台ものクルマの中の一台として事務的に処理され、あっと言う間に落札されるのが悲しかった。 オークション会場からの帰り道はその手放したクルマに関連する想い出が頭の中を廻った。 また借金のカタに押収したクルマ以外では『所有者が死亡したから』というのもあった。 名義変更等の手続きで必要な書類を見ると「この所有者は62歳で亡くなったのか……」なんて事が分かったりして複雑な気持ちになる。 確か病死だったと聞いた気がする。 また所有者が自殺なんていうのもある。 当時は練炭ブームじゃなかったので、排気ガスをホースで車内に引き込むやり方。 車内清掃をした人の話では「排ガス自殺すると、車内は甘い匂いがするんだぞ」と言っていた。 また死亡事故を起こしてしまい所有者の家族が「縁起が悪いから」という理由で売り払ってしまうクルマもあった。 これは私は見ていないのだけど、割れたフロントガラスに被害者の髪の毛が数本絡まったままの状態で搬入されたらしい。 また別の死亡事故を起こしたクルマのボンネットを開けて内部を掃除していたら「被害者の耳が出てきた」なんて話も聞いた。 こうやって様々な背景のクルマを引き上げ、場合によっては修理し、綺麗に洗車して、オークション会場へ運ぶバイトを続けた。 傍から見るにはわりと順調に会社は成長しているようだったが、なんせ社長はカネとオンナに汚い野郎。 自ら落ちていった。 ついに『メーターの巻き戻し』に手を出してしまったのだ。 クルマの走行距離のメーターを巻き戻す(走行距離を少なく見せる)事によって、より高値がオークションで付く。 走行距離が多いクルマはそれだけでかなり値段が下がるので、8万Kmとかの表示を4万8千kmくらいにしちゃうわけ。 日本だと『10年 or 10万kmで買い替え時』なんてイメージがあるから、この数万kmの戻しは価格への影響が結構大きい。 このメーター戻しも専門の業者がいるらしく、確か値段はアナログメーターで1万円とか言っていたかな。 デジタルメーターだと5万円だか7万円だった気がする。 10年以上前の当時「デジタルメーターは巻き戻しができないから、デジタルメーターの中古車は走行距離が信頼できる」なんてウワサされていたけど、巻き戻しは出来た。 アナログメーターはドリルみたいな物でグリグリ回転させて、デジタルはコンピュータを接続して好き勝手な走行距離にするらしい。 今の価格や現状は判らないけど、当時はそんな感じだった。 こんな詐欺みたいな行為は、当初「ウチはそんなマネはしない。誠実にやる」なんて社長は言っていたのに、ある一台のクルマの走行距離を戻してから殆どのクルマでやるようになってしまった。 その一台は確かに戻せば高く売れそうなクルマだった。 5年落ちで走行距離は8万kmを超えたくらいの高級車だった。 案の定、誤魔化した走行距離で高値が付いた。 このバイト先の社員は、巻き戻しの一件から「これでウチも終わりだな。巻き戻しに手を出したら終わりだよ」と嘆いた。 巻き戻せば確かに高値が付くが、業界内でバレたら当然信用は失う。 そうなるとまっとうな業者は離れていき、それを承知で付き合ってくれる業者はこれまた怪しげな所になってしまうので、ズルズルとダークサイドへ引っ張られてしまう。 こんな悪い社長なので、巻き戻しとは別の件でとあるオークション会場から出入り禁止になっていた。(何のトラブルかは聞かなかったけど) しかし社長は色々と誤魔化して、そのオークション会場を利用していた。 ある日「おたくの所の社長、バレてないつもりだろ? ウチら、みんな知ってるから」とオークション会場の駐車場のおじさんに言われた。 駐車場整理のおじさんまで知られるレベルだった。 この社長の前職は某大手メーカーのサラリーマンだったし、普段も物静かなインテリ風だったので、何か手荒なマネをしての出入り禁止じゃないと思う。 サラリーマン時代も社内で詐欺まがいの不正を働いてクビになったとウワサされていたので、このオークション会場も何か詐欺まがいの事でもしたのだろう。 会社の不正以外では社長は奥さんに浮気がバレて家庭内ではとんでもない事になっていた。 会社の旅行に愛人を連れて来たり、仕事中に別の愛人と出掛けたり好き勝手やっていた。 奥さんに勘付かれるのも時間の問題で、怪しんだ奥さんは探偵に依頼した。 ある日の夕方、探偵は社長のクルマを尾行した。 社長は得意気に「さっきからあのクルマが俺を尾行しているな。撒いてやるか」と社長の運転するクルマはスピードを上げて振り切った。 その尾行された夜、社長は愛人に会いに行ったようなのだが、それをバッチリと探偵に撮られていた。 凄いな、探偵って。 こうして業務中にも関わらずオンナ遊びの影がチラホラと見え始め、不正にも手を染め、詐欺師みたいな社長の人柄故に業界内で悪いウワサが流れ始め、社員の士気は下がる一方だった。 こんな会社だったけど、バイト自体は楽しかった。 高級車からバリバリに改造したスポーツカー、アメ車や珍しいクルマにヤンキー車と色々運転できて楽しかった。 夜中に一人で高速道路をオープンカーで走る気持ち良さは最高だった。 たまにオークション会場ではなく、船に載せるために夜の港まで搬入した事もあった。 港から見える夜景は凄く綺麗だった。 社長以外二人しか居ない社員の内の一人との仕事も楽しかった。 良き兄貴分という感じで、仕事以外の色んな事を教わったり、くだらない話でよく盛り上がった。 男気のある本当に良い先輩だった。 そんなバイト先を私は学業に専念する事もあって、辞めた。 辞めてからもその兄貴分的な人とは年に2~3回位連絡を取っていた。 用事もなく久々に電話をしてみると昨日の続きのように話をしてくれた。 また「前から欲しかったクルマに買い替えたんだ」とか「今度子供が産まれるんだよ!」とか電話する度に良い話も聞けて私は嬉しかった。 辞めてからの何度目かの電話の時「俺達、独立したんだ」と聞かされた。 一緒に働いていたもう一人の社員と二人で似たような会社を興した。 二人しかいない社員が共に辞めてしまい、バイト先がどうなったのか気になったが、そんな野暮な話は聞かないでおくことにした。 どうせあの社長の事だ、会社が潰れても他人の懐に入ってどこか適当な所に潜り込むことくらい容易いだろうに。 その後、ちょっとしたニュースでその兄貴分の会社が取り上げられているのを見た。 会社は順調だったようだ。 特に理由はなく、それから数年間その人に連絡をしなかった。 数年ぶりにその人の事を思い出した時「会社は順調かな?」と何気なくインターネットで調べてみた。 どうやら会社を乗っ取られ、その人を含めた役員・社員が全員解雇になっていた。 子会社などに納まった様子も無い。 一方、今書いていて10年以上ぶり気になった社長の行方をネットで探ってみた。 案の定、様々な会社に役員として名前が挙がっていた。 きな臭い話にもぶち当たった。 世の中って上手く行かないもんだ。 お金が絡むと悪い奴が生き残るものなんだな。 兄貴分とはまた久々に話をしたいと思うが、またどこかで彼の良い話を聞かない限り今後も電話をすることはないだろう。 |
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